ブタの頭骨の分解
頭骨は複数の骨が集まってできてる…と言われてもいまいちピンと来ない人向けに頭骨を分解してみました。
*成長段階によってばらせる限界があります
↑はイノシシやブタの鼻先に入っている骨です
右上の写真の縫合が地層みたいでキレイ
切歯間骨が鯨類の吻みたい
一個一個よくみると複雑な形をしていて、それでバラバラにするのが力のいる作業でした。このパーツを組み合わせると↓の画像になります。
骨の名称は「家畜比較解剖図説上巻(出版元:養賢堂)」や「ANIMAL SKULLS(出版元:STACKPOLE BOOKS)」を参照しましたが、私が間違っている可能性もあるので鵜呑みにしないでください。
カメの骨
今まで私が骨格にしてきた(個人以外も含む)カメは、ミシシッピアカミミガメ、ワニガメ、マレーハコガメ、ニホンイシガメ。
最初は何とも思っていなかった形の違いに少しずつ気が付いてきました。
ウミガメの甲羅は「浮力を増すために骨組みだけになっている」とどこかの本で読んでいたのでそういうものだと思っていましたが、他のカメについては「みんな同じ」くらいの認識しかなかったです。
ですが、マレーハコガメを骨格にした後にニホンイシガメを骨格にすると外からは見えない場所に違いがありました。
上がニホンイシガメ、下がマレーハコガメですが、ニホンイシガメの腋下甲板と鼠蹊甲板が家の柱のように見えますが、マレーハコガメにはニホンイシガメのようにはっきりとした柱は見受けられませんでした(ハコガメが小さいからでしょうか?)
マレーハコガメは腹甲を蓋のようにして中に隠れられる可動式の腹甲ですが、ニホンイシガメは可動式ではありません。そういったところも関係しているのでしょうか。
*ワニガメの腹甲を観た時は「腹帯」と感じるほどお腹を覆うような腹甲ではありませんでした。
ニホンイシガメを骨にした後、今度はニホンイシガメの子亀を骨にする機会がありこれもまた面白く、「孵りたてのカメ以外の甲羅はどの成長段階でも同じ」とはっきりと意識はしていなくても何となく決めつけていたら子亀は肋甲板が縁甲板まで達していなく、肋骨のあの扁平な骨がちらっと見えている状態でした。
*カメの甲羅は肋骨が変形したものなので、「よく見る哺乳類の肋骨が見えた」とくみ取ってほしいです。
先が透けて見えるのがおわかりでしょうか。
これは背甲を腹側からみた写真
写真がとても悪いけれど、これは子亀より大きいイシガメの背甲。先ほどのイシガメと違い先が透けて見えない!なんなら肋骨が完璧な板になっている。
大きさの比較。鱗板が剥がれているのは気にしないでください。後で付けました。
同種でも成長段階の比較は面白いので、そういった展示があれば見たいです。
だれか作ってくれないでしょうか。
ミズオオトカゲ(サルバトールモニター)
8月下旬に全長2mのミズオオトカゲ(以下、オオトカゲ)をいただいた。さすがに自宅の冷凍庫には入らないし、一気に全身を骨にする作業は匂いが気になるので、一時大学に預けて少しずつ骨にしていった。
胴体の太さが太腿以上にある大きさだった。
在学中にもオオトカゲを骨にしたことがあってその時は骨の形が分からず、小分けにするのに半日以上掛かってしまった。そして上手く全身骨格にすることもできなかった。
この反省やその後のワニやワニガメの解剖の経験を活かして、胴体の小分けと除肉まで含めて3時間で済ませられた!着実に成長しているのだとしみじみとした。
大学で骨にすることはできないのでもちろん持って帰った。この巨体はバケツには入らないので衣装ケースに入ってもらい、日の出と共に起きだして記録と除肉を繰り返した。
肋骨の間隔をどうしても見たかった。
頭部は歯がポロポロ落ちることを知っていたので別の容器に入れ、少し腐敗が進んだところで歯の順を記録しようとしたら夏の暑さのおかげであっという間にバラバラになった。観察しながらの骨作業には夏は向かないらしい。その反面、脱脂はとても上手くいって漂白剤を使わなくても白い骨を取り出せた。頭骨の骨を一個一個観察出来てとても勉強になるしバラけることは悪いことではない(これは負け惜しみ)。
これはバラけた頭骨の一部。一個一個観察して名前も調べてネット上で公開すれば、頭骨がバラけて泣いている誰かの役に立てるのではと妄想しながら、自身を鼓舞し、組み立てた。
流石、私(ショックを受けながら前回作った頭骨と見比べて組み立てた。前回の頭骨がなければ博物館に問い合わせするところだった。)。
組み立てるときに必要となる記録とりをしつつ、オオトカゲは9月上旬に骨になりました。これから材料を揃えて組み立てますが、年内に組みたつかなぁ・・・。
皮マフラー
現在進行中の骨作業 生々しい画像あり
本日の投稿には生の画像があるので苦手な方は読まないようにお願いします!!
コロナの影響で博物館に行くこともIKEAに行くこともできずにずっと作業していました。そのおかげで自粛しているにも関わらず日焼けしてきました。
- 烏骨鶏
- カエル
- カメ
- ヘビ
- マウス
- 中を抜いた状態の皮
- 綿を詰める
- 縫い合わせ状態
「烏骨鶏は骨が黒い」と言われていますが、元は白いです。確かに未処理状態では下の写真の左側のように黒っぽいですが、骨膜を剥がしてしまえば右の骨のように白くなっていきます。まだ脂が内部に残っているのでクリーム色ですがこの状態はタヌキでも一緒でした。
腸骨と仙骨を縮めた状態。
肉がついているといまいち分かりにくいと思いますが骨にすると筋肉の動きが分からなくなるので、カエルの死体を入手した際にはご自身の手で確かめていただきたいです。- 「その凄い形と機能 骨格百科ースケルトンー」アンドリュー・カーク著 グラフィック社出版
- 「第39回特別展 ホネホネたんけん隊 ホネで学ぶ、ホネで楽しむ」2009 大阪市立自然史博物館・編
タヌキを持って帰って来た
だいぶ前に冷凍庫を購入し、さらにもっと前に拾って大学の冷凍庫に入れといたタヌキを、ちょっと前に持って帰って来た…時の話。
だいぶややこしいですね。
こちらは冷凍タヌキが入ったリュック。他にちょっと物が入った状態でもタヌキが入るってすごい。
このタヌキは2018年8月に岐阜で拾ったタヌキです。友人が岐阜に住んでいたので、遊びにいって夜に死体探しのドライブに出掛けたらありました。
こんな感じに。
それを撮影して位置情報を記録する私の足元が写ってます。周りは山ばかりの場所だったので、のんびり記録していたら自転車に乗った中学~高校生くらいの男の子が通って、不審者に思われたんじゃないかなと今でも記憶に残ってます。
そんなタヌキは今は自宅の冷凍庫にいて、これを今年の博物フェスティバルに当選したら組み立て標本として、色々な人に組み立ててもらおうと考えてます。ワークショップ枠で当選するといいな。
これはタヌキが入った袋。
でも、ここで問題が。
ロードキル個体は外見が綺麗でも中は骨折だらけっていうこともある。特に頭骨は粉々になっていることが多い。
このネコ皮、綺麗でしょう?この個体もロードキルで皮に穴は空いてませんでしたが顔の変形がすごく、皮を剥がしてみると肺・心臓が胸腔になく首元にある状態で、脳は形がなくペースト状でした。
ネコ頭骨の一部ですが、見事に粉々です。あー、嫌だな組み合わせるの…。
こういう状態の動物を見ると動物の交通事故が減ってほしいと思うと同時に、飼いネコは完全に室内で飼育してほしいと思う。昔、「ネコは死ぬところを人に見られたくないのよ。だから外行ったら帰ってこないの。」と誰かが言っていて、それは「死に場所を探しに行くために外に出たのではなく、轢かれて帰ってこれなくなった。」のではないかと今では思う。