骨のある部屋

@honebeya206

ブタの頭骨の分解

頭骨は複数の骨が集まってできてる…と言われてもいまいちピンと来ない人向けに頭骨を分解してみました。

*成長段階によってばらせる限界があります

 

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↑はイノシシやブタの鼻先に入っている骨です

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右上の写真の縫合が地層みたいでキレイ

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切歯間骨が鯨類の吻みたい

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一個一個よくみると複雑な形をしていて、それでバラバラにするのが力のいる作業でした。このパーツを組み合わせると↓の画像になります。

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骨の名称は「家畜比較解剖図説上巻(出版元:養賢堂)」や「ANIMAL SKULLS(出版元:STACKPOLE BOOKS)」を参照しましたが、私が間違っている可能性もあるので鵜呑みにしないでください。

 

カメの骨

今まで私が骨格にしてきた(個人以外も含む)カメは、ミシシッピアカミミガメワニガメ、マレーハコガメ、ニホンイシガメ。

最初は何とも思っていなかった形の違いに少しずつ気が付いてきました。

 

ウミガメの甲羅は「浮力を増すために骨組みだけになっている」とどこかの本で読んでいたのでそういうものだと思っていましたが、他のカメについては「みんな同じ」くらいの認識しかなかったです。

ですが、マレーハコガメを骨格にした後にニホンイシガメを骨格にすると外からは見えない場所に違いがありました。

 

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上がニホンイシガメ、下がマレーハコガメですが、ニホンイシガメの腋下甲板と鼠蹊甲板が家の柱のように見えますが、マレーハコガメにはニホンイシガメのようにはっきりとした柱は見受けられませんでした(ハコガメが小さいからでしょうか?)

マレーハコガメは腹甲を蓋のようにして中に隠れられる可動式の腹甲ですが、ニホンイシガメは可動式ではありません。そういったところも関係しているのでしょうか。

ワニガメの腹甲を観た時は「腹帯」と感じるほどお腹を覆うような腹甲ではありませんでした。

 

 

ニホンイシガメを骨にした後、今度はニホンイシガメの子亀を骨にする機会がありこれもまた面白く、「孵りたてのカメ以外の甲羅はどの成長段階でも同じ」とはっきりと意識はしていなくても何となく決めつけていたら子亀は肋甲板が縁甲板まで達していなく、肋骨のあの扁平な骨がちらっと見えている状態でした。

*カメの甲羅は肋骨が変形したものなので、「よく見る哺乳類の肋骨が見えた」とくみ取ってほしいです。

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先が透けて見えるのがおわかりでしょうか。

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これは背甲を腹側からみた写真

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写真がとても悪いけれど、これは子亀より大きいイシガメの背甲。先ほどのイシガメと違い先が透けて見えない!なんなら肋骨が完璧な板になっている。

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大きさの比較。鱗板が剥がれているのは気にしないでください。後で付けました。

 

同種でも成長段階の比較は面白いので、そういった展示があれば見たいです。

だれか作ってくれないでしょうか。

 

ミズオオトカゲ(サルバトールモニター)

8月下旬に全長2mのミズオオトカゲ(以下、オオトカゲ)をいただいた。さすがに自宅の冷凍庫には入らないし、一気に全身を骨にする作業は匂いが気になるので、一時大学に預けて少しずつ骨にしていった。

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胴体の太さが太腿以上にある大きさだった。

 

在学中にもオオトカゲを骨にしたことがあってその時は骨の形が分からず、小分けにするのに半日以上掛かってしまった。そして上手く全身骨格にすることもできなかった。

この反省やその後のワニやワニガメの解剖の経験を活かして、胴体の小分けと除肉まで含めて3時間で済ませられた!着実に成長しているのだとしみじみとした。

 

大学で骨にすることはできないのでもちろん持って帰った。この巨体はバケツには入らないので衣装ケースに入ってもらい、日の出と共に起きだして記録と除肉を繰り返した。

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肋骨の間隔をどうしても見たかった。

 

頭部は歯がポロポロ落ちることを知っていたので別の容器に入れ、少し腐敗が進んだところで歯の順を記録しようとしたら夏の暑さのおかげであっという間にバラバラになった。観察しながらの骨作業には夏は向かないらしい。その反面、脱脂はとても上手くいって漂白剤を使わなくても白い骨を取り出せた。頭骨の骨を一個一個観察出来てとても勉強になるしバラけることは悪いことではない(これは負け惜しみ)。

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これはバラけた頭骨の一部。一個一個観察して名前も調べてネット上で公開すれば、頭骨がバラけて泣いている誰かの役に立てるのではと妄想しながら、自身を鼓舞し、組み立てた。

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流石、私(ショックを受けながら前回作った頭骨と見比べて組み立てた。前回の頭骨がなければ博物館に問い合わせするところだった。)。

 

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組み立てるときに必要となる記録とりをしつつ、オオトカゲは9月上旬に骨になりました。これから材料を揃えて組み立てますが、年内に組みたつかなぁ・・・。

 

皮マフラー

【ウサギの皮でマフラーを作りました】
作り方は焼きミョウバンと塩を混ぜた液体に2週間浸けて、浸けながら取り残した脂肪や筋肉を切り落としていきます。割合は水10:焼きミョウバン2:塩1で作りました。ミョウバンの種類はいくつかあるので種類によっては割合がことなってきます。
2週間後に液体から取り出して皮を伸ばしながら乾燥させていきます。この時に皮が白くなるまで伸ばさないと乾燥した時に板になります。固くて首に付けられたもんじゃない。どうも皮膚の繊維が切れると白い見た目になるようです。
ここまでは「皮鞣し」で検索すると出てくるやり方です。

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私はマフラーにするためにまだ生乾きの状態で皮をカットし、繋ぎ合わせて細長くしてマフラーにしていきました。
【工夫したところ】
・首にあたる裏地が洗えるように取り外し可能にした(ボタンを皮につけた)
・マフラーはボタンで固定できるようにした(金属アレルギーへの配慮)

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私が皮を加工した理由は3つあります。
1)ハンズオン用に保存する皮の枚数にも限界がある
2)そのまま捨てるのは勿体ない
3)テレビで化学物質アレルギー(香水も含む)の人を観て。
 
1)・2)そもそも私は今まで骨にする過程で出る皮はハンズオン用に保存してました。その理由は、皮は夏毛と冬毛でさわり心地が違うし、毛に方向性がない動物(1)がいることを知ってもらうため等に利用してました。野生動物は動物そのものが抵抗して危なくて触れないのと、ダニ・寄生虫細菌等人間にどんな悪影響があるか分からなくて触れない。剥製標本も貴重だから触れなかったり、触れるように展示ケースや展示方法を変える手間がある(他にも常に触れるように出来ない理由があると思う)。皮を触る機会があまりないので、折角ならと残してました。
ですが、毎回残せるほど保管場所は広くありません。でも捨てたくない…。そんな想いがあってマフラーという消耗品に加工しました。
(1)モグラは土の中で方向転換できるように毛に方向性がないそうです。
 
3)世の中には化学物質に対するアレルギーを持っている方がいるそうで、テレビで紹介されていた方は香水はもちろん壁の塗料の匂いもダメなようでした。
この方ではないですが、服の繊維も肌に合う合わないで痒くなってしまう人もいるので、なんとか人工物を少なくできないかと考えました。今回作ったマフラーはまだまだですが、いつか理想とする加工をしたいです。
 
 
 
そんなこんなで形にしたマフラーですが、作業中に感じたことがいくつかあります。
・メスは皮が薄くて柔らかく、オスは皮が厚くて固い
・体の線は均一ではないので長方形の布をイメージしても、思い通りにはならない
 
オスの皮は溶接用のグローブみたいな触り心地だったので同じ皮でも向き不向きがある、見た目をキレイなマフラーにするにはもう少し量が必要なのだと。
量を重視するのなら鼻先から後ろ足の先まで使うべきだったんだと思います。ですが、頭のついたマフラーは「死んだもの」が強く出てしまって、私は嫌なのでそうしませんでした。
 
 
 
【消耗品】
この言葉を1ヶ所に使ってます。なぜそうしたかと言うと、ある方の動物アクセサリーを「消耗品にするな」と批判していた方を目にしたからです。たしかに私もその方が作る動物アクセサリーは好みではないです。しかし、消耗品とはそんなに悪いことでしょうか。
革製品は完全に消耗品で、肉牛を肉としてだけではなく革として使う、無駄なく使う意味が込められています。動物アクセサリーがどのような過程を経て出来たかは知りませんが部分的に残ったところをこの方なりに残しているのではないかと思うのです。
そして、私は加工することを否定してしまうと野生動物の調査で知り合った猟師さんを否定することになります。その猟師さんは「駆除で終わってしまうのではなく、肉も皮もできるだけ利用することで供養してる」そう言ってました。自身でマフラーを作ったこともあるそうです。
動物アクセサリーは頭部がついていたりするので見た目の不快感はありますが、その作品の批判点を考えれば考えるほど自分との違いが分からなくなります。

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今後の予定イベントについて

・2020年11月7日(土)・8日(日)のデザインフェスタ

・2021年の9月の博物ふぇすてぃばる!に参加します。

 

自粛期間中に出来たマレーハコガメ(展示用)とアズマヒキガエル(販売用)の骨格をもっていきます。

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今は、本格的な夏になる前までに骨だけにして、外で作業しないように必死です。

去年、地熱を測ったら60℃だったのでちょっとそれはもう勘弁してほしい。

現在進行中の骨作業 生々しい画像あり

本日の投稿には生の画像があるので苦手な方は読まないようにお願いします!!

 

コロナの影響で博物館に行くこともIKEAに行くこともできずにずっと作業していました。そのおかげで自粛しているにも関わらず日焼けしてきました。

現在骨にしている動物は
  • 烏骨鶏
  • カエル
  • カメ
  • ヘビ
  • マウス
です。烏骨鶏とカエルを骨にしている途中で面白いことがあったので写真付きで紹介していきます。
 
烏骨鶏
鳥の翼には基本的に爪はないです(しかし、ツメバケイ、ケリ…などの一部の鳥では確認されている)が烏骨鶏を解体していると第一指(手羽先を食べている時に口に当たるあの突起)に爪がありました。

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この爪は雌雄で確認できています。烏骨鶏のみなのか他の品種ではどうなのか不思議です。
 
ちなみにメスは翼を残して、オスは全身の羽を残すように皮を剥ぎました。
  • 中を抜いた状態の皮
  • 綿を詰める
  • 縫い合わせ状態

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こちらはメスの翼。左が乾かした状態、右が乾かす前。みすぼらしい・・・。

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烏骨鶏は骨が黒い」と言われていますが、元は白いです。確かに未処理状態では下の写真の左側のように黒っぽいですが、骨膜を剥がしてしまえば右の骨のように白くなっていきます。まだ脂が内部に残っているのでクリーム色ですがこの状態はタヌキでも一緒でした。

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ウシガエルを大量に譲り受けたので、大量の内臓抜きをしていたところ1個体に3~6個体の線虫(寄生虫)が出てきました。さすがにドキドキした。

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「カエルを生で食べるのが好きな人から大量の寄生虫」という食文化に関するネットの書き込みを見たことがありますが、さすがにこの食文化は健康のために辞めた方がいいと思う。あと、飼い猫に狩りをさせることも。
 
カエルのあの跳躍力を可能にするのは何も後ろ脚だけの問題ではなく仙椎(ヒトだと腰の真ん中にくる骨)と腸骨(腰に手を当てたところにある骨)も重要で「骨格百科*1」に書いてあるように、そこの関節が可動するようになっている。
 
緑の線が腸骨で水色の線が仙椎
腸骨と仙骨を伸ばした状態。

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腸骨と仙骨を縮めた状態。

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肉がついているといまいち分かりにくいと思いますが骨にすると筋肉の動きが分からなくなるので、カエルの死体を入手した際にはご自身の手で確かめていただきたいです。
 
 
 
本に書いてあることでも実際に自分の目で確かめないと記憶に残らないなと感じながら作業しています。完全な骨になるまでまだまだかかりそうです。
 
【今回参考にした本】
  • 「その凄い形と機能 骨格百科ースケルトンー」アンドリュー・カーク著 グラフィック社出版
  • 「第39回特別展 ホネホネたんけん隊 ホネで学ぶ、ホネで楽しむ」2009 大阪市立自然史博物館・編

タヌキを持って帰って来た

だいぶ前に冷凍庫を購入し、さらにもっと前に拾って大学の冷凍庫に入れといたタヌキを、ちょっと前に持って帰って来た…時の話。
だいぶややこしいですね。


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こちらは冷凍タヌキが入ったリュック。他にちょっと物が入った状態でもタヌキが入るってすごい。
このタヌキは2018年8月に岐阜で拾ったタヌキです。友人が岐阜に住んでいたので、遊びにいって夜に死体探しのドライブに出掛けたらありました。

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こんな感じに。

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それを撮影して位置情報を記録する私の足元が写ってます。周りは山ばかりの場所だったので、のんびり記録していたら自転車に乗った中学~高校生くらいの男の子が通って、不審者に思われたんじゃないかなと今でも記憶に残ってます。

そんなタヌキは今は自宅の冷凍庫にいて、これを今年の博物フェスティバルに当選したら組み立て標本として、色々な人に組み立ててもらおうと考えてます。ワークショップ枠で当選するといいな。

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これはタヌキが入った袋。



でも、ここで問題が。
ロードキル個体は外見が綺麗でも中は骨折だらけっていうこともある。特に頭骨は粉々になっていることが多い。


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このネコ皮、綺麗でしょう?この個体もロードキルで皮に穴は空いてませんでしたが顔の変形がすごく、皮を剥がしてみると肺・心臓が胸腔になく首元にある状態で、脳は形がなくペースト状でした。
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ネコ頭骨の一部ですが、見事に粉々です。あー、嫌だな組み合わせるの…。


こういう状態の動物を見ると動物の交通事故が減ってほしいと思うと同時に、飼いネコは完全に室内で飼育してほしいと思う。昔、「ネコは死ぬところを人に見られたくないのよ。だから外行ったら帰ってこないの。」と誰かが言っていて、それは「死に場所を探しに行くために外に出たのではなく、轢かれて帰ってこれなくなった。」のではないかと今では思う。