骨のある部屋

@honebeya206

骨格標本作製への挑戦について

 イベントに出るとよく「標本作ってみたいから教えて」と言われます。今回は「その人が作りたいと思う個体を標本化する前の準備」と「やり方の例」について書きます。

 

【準備するもの】
 私は水で腐敗させながら作るので、水浸けで骨にするまでの過程で必要なものを書きます。
※動物の大きさによって不要なものも含まれます
①個体が水に浸かる容器を複数個(百均で販売されてる330円のタッパなど。複数必要なのは四肢をわけるため)
②ゴミ取りネット(小さめタイプ)
③ゴミ取りネット(三角コーナーなどに使う大きめのもの)
④輪ゴム
⑤先の細いハサミ
⑥ピンセット(先が細いタイプ)
⑦メスのようなカッター(ホームセンターに行くとあります)
⑧三角コーナー
⑨ゴミ袋(出た肉を捨てる用)
⑩練習用の〇体
⑪手袋


 ⑤、⑥、⑦以外は全て百均で揃えました(100円以上するものも含む)。

⑩は爬虫類の餌で探すと入手しやすいです。中型サイズは人間用の食べ物で子〇タを購入すれば、美味しくいただきながら全身骨格ができます。頭と足先がないものでよければ、ローストチキンを買えば、内臓はないですが筋肉と骨の位置関係はわかります。道具を用意するのに5,000円~9000円くらい予算があれば準備できるのではないでしょうか。

【事前学習】

 やる種類の骨格がどうなっているか書籍やネットの画像検索でよく勉強してください。私は哺乳類と鳥類は家畜解剖図説(新品は8,000円くらい)で勉強しました。爬虫類や両生類は画像検索しました。画像検索の仕方は「Frog bone」や「(学名) bone」などと入れて、ページ上部にある「画像」を選択し、解剖図で参考になりそうなものをスクリーンショットしてずっと眺めていました。ちなみに、なくなっている骨があるかもしれないので、骨格の写真は全くあてになりません。

 

【肉をなくして骨にする方法】

 私が知っている方法を羅列します。

①水で腐らせる

メリット:夏場は腐敗が早く、脱脂もできる。

デメリット:とにかく臭い、小型動物は油断すると半日でバラバラになり組み立て不能に。冬は死蝋化したものが骨に付着する(中々取れない)
②土に埋める

メリット:臭くない。軟組織の処理に困らない。脱脂もできる。

デメリット:骨が土色になる。植物の根が骨に入り込む。細かい骨がバラバラになりやすい。
③煮る(鍋、ポット、炊飯器)

メリット:軟組織の処理が早い。脱脂も一応できる。

デメリット:小型動物は絶対にやめた方がいい。臭う。火にかける場合は火元から離れられない。
ポリデントなどの薬品(私は昔やってましたが効果が分からず止めました)

メリット:漂白も脱脂もできる…らしい。肉が溶ける…らしい(結局、①と同じように水の中で腐敗しているんじゃないの?と思ってます。)

デメリット:独特なニオイがある。動物が大きくなると臭い。浸けすぎると残った腱の除去が難しい。水替え頻度に注意しないと骨がバラバラになる。

⑤虫(カツオブシムシ)におまかせ

メリット:綺麗に食べてくれる。うまくいくと何もしなくても全身骨格になる。

デメリット:カツオブシムシの飼育をマスターする必要がある。骨の引き上げ加減が分からないと骨まで食べられる。

 思いつくかぎりの方法とメリット、デメリットを書きましたが、結局は慣れです。ある人には①の方法がいいけれど、②の方がやりやすい人もいます。「〇〇の方法は簡単!」といっている標本作成者がいたら疑った方がいいです。

 水で腐敗させる方法をとっているのは「簡単に肉が取れる」からではありますが、小型の動物では肉が溶けるほど放置したらバラバラになります。なので、除肉は丁寧にやる必要がありますし、部位ごとに細かくネットに分ける必要性と、こまめな水替えも必須になります。旅行や遊びになんて無計画に行ってられません。生きた動物を飼っていると思って骨化作業に取り組んでください。

愛情をかけないと向こうもすねます!!本当に!!!

 どの方法をとっても「部位ごとにキチンと分ける」「こまめに様子を見る」「骨の位置をよく観察する」これらのことが最低限必須になるのではないでしょうか。

 

【健康上の注意点】

 未知のウィルスや野生個体であれば寄生虫だらけと思ってください。食卓や通常料理で使うものを代用しての作業はオススメしません!洗剤ですら骨用を用意してください。

 私が学生時代に学んだ恐怖は寄生虫は空中を舞う」です。寄生虫自体に飛行能力があるのではなく、糞や乾燥した土が空気中に舞ったときに一緒に付着していて、それを人間が吸い込んで寄生虫症になるというものです。寄生虫は細い素麺ばかりではありません。まったく寄生虫についての知識はなく不安を煽るものばかりですが、エキノコックスみたいに「数年後に暴れる寄生虫がいるかもしれない」と思いながら気を付けて作業してください。

 たまに「素手で触る」人や「汚染された手袋のままスマホを触る」人がいてビックリしてます。女性は髪の毛にも注意してください。

 

【ぶっつけ本番でいきますか?】
 ぶっつけ本番で骨にする方は頑張って下さい。私は何事にも練習や慣れが必要なように、骨にするのにも練習は必要だと思います。

 今回は事前準備について書きましたが、次回(未定)は水浸けでの骨にする過程について書きます。実際の骨の組み立てについては「骨格標本 作成」等のキーワードで検索すると出てくるので割愛します。

 ちなみに骨の組み立てには、工具(ペンチ、虫ピンは必須)や針金(一個体に1~3種類の太さの針金を使っています)、接着剤、台座などをご用意ください。

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