骨のある部屋

@honebeya206

皮マフラー

【ウサギの皮でマフラーを作りました】
作り方は焼きミョウバンと塩を混ぜた液体に2週間浸けて、浸けながら取り残した脂肪や筋肉を切り落としていきます。割合は水10:焼きミョウバン2:塩1で作りました。ミョウバンの種類はいくつかあるので種類によっては割合がことなってきます。
2週間後に液体から取り出して皮を伸ばしながら乾燥させていきます。この時に皮が白くなるまで伸ばさないと乾燥した時に板になります。固くて首に付けられたもんじゃない。どうも皮膚の繊維が切れると白い見た目になるようです。
ここまでは「皮鞣し」で検索すると出てくるやり方です。

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私はマフラーにするためにまだ生乾きの状態で皮をカットし、繋ぎ合わせて細長くしてマフラーにしていきました。
【工夫したところ】
・首にあたる裏地が洗えるように取り外し可能にした(ボタンを皮につけた)
・マフラーはボタンで固定できるようにした(金属アレルギーへの配慮)

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私が皮を加工した理由は3つあります。
1)ハンズオン用に保存する皮の枚数にも限界がある
2)そのまま捨てるのは勿体ない
3)テレビで化学物質アレルギー(香水も含む)の人を観て。
 
1)・2)そもそも私は今まで骨にする過程で出る皮はハンズオン用に保存してました。その理由は、皮は夏毛と冬毛でさわり心地が違うし、毛に方向性がない動物(1)がいることを知ってもらうため等に利用してました。野生動物は動物そのものが抵抗して危なくて触れないのと、ダニ・寄生虫細菌等人間にどんな悪影響があるか分からなくて触れない。剥製標本も貴重だから触れなかったり、触れるように展示ケースや展示方法を変える手間がある(他にも常に触れるように出来ない理由があると思う)。皮を触る機会があまりないので、折角ならと残してました。
ですが、毎回残せるほど保管場所は広くありません。でも捨てたくない…。そんな想いがあってマフラーという消耗品に加工しました。
(1)モグラは土の中で方向転換できるように毛に方向性がないそうです。
 
3)世の中には化学物質に対するアレルギーを持っている方がいるそうで、テレビで紹介されていた方は香水はもちろん壁の塗料の匂いもダメなようでした。
この方ではないですが、服の繊維も肌に合う合わないで痒くなってしまう人もいるので、なんとか人工物を少なくできないかと考えました。今回作ったマフラーはまだまだですが、いつか理想とする加工をしたいです。
 
 
 
そんなこんなで形にしたマフラーですが、作業中に感じたことがいくつかあります。
・メスは皮が薄くて柔らかく、オスは皮が厚くて固い
・体の線は均一ではないので長方形の布をイメージしても、思い通りにはならない
 
オスの皮は溶接用のグローブみたいな触り心地だったので同じ皮でも向き不向きがある、見た目をキレイなマフラーにするにはもう少し量が必要なのだと。
量を重視するのなら鼻先から後ろ足の先まで使うべきだったんだと思います。ですが、頭のついたマフラーは「死んだもの」が強く出てしまって、私は嫌なのでそうしませんでした。
 
 
 
【消耗品】
この言葉を1ヶ所に使ってます。なぜそうしたかと言うと、ある方の動物アクセサリーを「消耗品にするな」と批判していた方を目にしたからです。たしかに私もその方が作る動物アクセサリーは好みではないです。しかし、消耗品とはそんなに悪いことでしょうか。
革製品は完全に消耗品で、肉牛を肉としてだけではなく革として使う、無駄なく使う意味が込められています。動物アクセサリーがどのような過程を経て出来たかは知りませんが部分的に残ったところをこの方なりに残しているのではないかと思うのです。
そして、私は加工することを否定してしまうと野生動物の調査で知り合った猟師さんを否定することになります。その猟師さんは「駆除で終わってしまうのではなく、肉も皮もできるだけ利用することで供養してる」そう言ってました。自身でマフラーを作ったこともあるそうです。
動物アクセサリーは頭部がついていたりするので見た目の不快感はありますが、その作品の批判点を考えれば考えるほど自分との違いが分からなくなります。

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