骨のある部屋

@honebeya206

大哺乳類展2に行って(これで4回目)

まだ開催中の大哺乳類展2(以下、企画展)について今回は以下のことについて書きます。

1.剥製をどう見るか
2.ラマの骨格について
4.膨大な歯の標本について
5.4/26のギャラリートークの内容のまとめ


【剥製をどう見るか】
私は元々皮に興味がありませんでした。興味がない理由ははっきり覚えていませんが、皮から何が分かるのかが分からないから興味がなかったんだと思います。企画展の膨大な量の剥製を正直どう見たら良いか分かりません。ですが、きっとこうやって見たらいいのだろうという考えはあります。
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企画展の入り口にあるゾウの骨格には、あの特徴的な鼻がないです。鼻があった場所の大きな穴を昔の人は目だと勘違いしたそうです。骨になってしまうと元の形や色が分かりません。ゾウの形や色を私達は知っていますが、マルミミゾウの耳や鼻先の形が、アフリカゾウと違うかそうでないかは想像できませんよね?今は写真などの資料で確認できますが、化石として出てきた動物はどうでしょう?もしかしたら、ゾウの鼻のように私達が勘違いしている姿を想像しているかもしれないし、同じ種の化石でも発掘した地域によっては、生前の見た目が違うかもしれない。最近の恐竜に羽毛が付け加えられたように、皮がなくなってしまうと失われる情報がとても多い。


コウモリの剥製を見た時に「尾膜」という尻尾と後ろ足の間にある膜に目がいった。
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骨にするときに除去してしまう部分なので、ふと「骨に肉付けするとしたら、この尾膜は描かれることはないかもしれない」と思った。企画展でもコウモリの剥製が展示されているが、私が想像する尾膜とは違う尾膜をもつコウモリもいた。
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(尾膜はどこに・・・?)

企画展では同じ動物の剥製と全身骨格がセットになって展示されている標本もあるので、骨を見た時に生きた姿を想像して、剥製を見てどこまで再現できたか想像して遊んでみるのも面白いと思う。
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(骨格を見ただけで生きた姿を正確に復元できる気がしない、ハリモグラ。骨格の組み方で姿勢はいくらでも変えられるので、化石の全身骨格も正確な組み方になっているとは言い切れない。)


【ラマの骨格】
ラマの骨格解説パネルに「足根骨が逆Y字になっている」と書いてあった。「分かりにくい」と評判だった。
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4つの長い骨が足根骨。この骨の指側に切れ込みがあることを指していた。

良い写真が撮れず見えにくいが、キョンの骨格では逆Y字は観察されない。
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【膨大な歯の標本について】
剥製の行列を抜けると次は歯の行列が待っている。ここの展示は動物が何を食べるかによって歯の形が違うことを見てほしいようだった。
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肉を食べる歯は鋭利で…
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草を食べる歯は鋭利な臼
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特殊な歯として紹介されていたのが、チスイコウモリ。鋭利な歯は血を吸うために相手を傷つけるためのもので、あとは舐めとるだけなので他の歯がない。写真に撮るのが難しいくらい小さい頭骨だった。

マナティージュゴンは海藻を食べているようなので、陸上の草食獣と同じように臼に似た歯だった。
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ニシインドマナティーの歯

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ジュゴンの歯


ゾウの標本の歯が窮屈そうに頭骨に収まっているのが、観察できると思う。ゾウの歯は「水平交換」という方法で歯が生え変わる。人間は下から上に押し上げて歯が交換されるのに対して、ゾウは奥から元々あった歯を押し出すように生え変わる。6回も生え変わるらしい。どこにそんな歯が収まっているのだろう?

交換中?
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こちらは交換し終えたのかな?
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【4/26のギャラリートークの内容のまとめ】
・鯨類の舌骨について
吸引型の摂餌方法をとるクジラは舌を使って口の中の圧を変え勢いよく吸い込むために、舌骨が発達している。クジラ以外の哺乳類は舌をクジラのようには使わないために、舌骨がそれほど発達しないため軟骨が多く、軟骨が多いがために標本として残しにくいそうだ。
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・クジラの胸鰭
体サイズに対して胸鰭が大きい種類(シャチ)は小回りが効く泳ぎ方ができる。

・胃について
「複胃」と呼ぶが、胃が複数あるわけではなく、一つの胃の中に部屋がいくつかあるから複胃。キリンは胃の中で植物を分解し、カピバラは腸で分解する。植物から栄養を得るために、動物たちは微生物を利用している。

・親と子どもの体色の違い
子どもは隠れるための色をしていて、例えばシカでは木漏れ日を表現している。アザラシの子どもの毛色は育つ場所が氷上か岩場なのかで毛色が変わる。