骨のある部屋

@honebeya206

オブトアレチネズミの耳

オブトアレチネズミというネズミをご存知でしょうか。「JULIET CLUTTON-BROCK.2005.世界哺乳類図鑑 新樹社」では、サハラ砂漠に生息するネズミで、体の脂肪を尾に蓄える奇妙な特性を持つネズミだそうだ。私はテレビで観たことがあって、尾がプニプニとしたこん棒のようだった。

 

そんなネズミを骨にする機会があった。外見はハムスターにこん棒状の尾を付けたような見た目だった。尾以外、印象的ではなかった。

しかし、骨にしたら頭蓋骨の形が想像以上に奇妙だった。

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左からオブトアレチネズミ、ラット、マウスの頭蓋骨。ラット・マウスが見慣れている私にとって、お尻のような頭をしたオブトアレチネズミは異様だった。

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近くで見てみるとこんな感じ。

 

 

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これはラット。すっきりした顔をしている。

 

ラットと比較して分かるのが鼓室という部分がオブトアレチネズミは発達していることだ。

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赤丸で囲った部分が鼓室で耳に関する部分。私達が普段目にする耳は耳殻(じかく)といって軟骨で出来てるので骨にするときは除去してしまう。

じゃあ何故、オブトアレチネズミは鼓室が大きいのか。とても聴力が優れているんだろうなと検討はつくが、調べてみた。

オブトアレチネズミの骨に関する資料が手元になかったので、「MARK ELBROCH.2006.ANIMAL SKULLS:A Guide to North American Species,302 pp.」にオブトアレチネズミと似たような頭蓋骨をしたKangaroo rat を参考にし、読んでみた。結局、「鼓膜の後ろの空間を増加させてフクロウの襲撃を察知できるようにしたと考えられる」と書いてあった。

 

JULIET CLUTTON-BROCK.2005.世界哺乳類図鑑 新樹社」には広範囲の低周波数の音を聞き取ることができると書いてあるので、鼓室が大きいのはここで反響させるためなんだと納得した。

 

オブトアレチネズミは特別耳が大きいわけではなかったので、聴力が良いとは思いもしなかった。キツネは動物が出した音の位置を特定するために耳が大きく、それを見て「耳が大きい動物は聴力が良く、耳が小さい動物は特別聴力が良いわけではない」と思っていたが、音のとらえ方でどこが発達するかが変わるのではないだろうか。